株式会社エコニクス
R&C部 地域振興グループ 清田 健
HACCP導入は、専門家チームの編成から始まり、図のような流れで進みます。これと並行して一般的衛生管理を徹底します。職員の意識改革や施設の整備なども必要です。
標津漁協の加工施設はH10.12.24にHACCP認定(対米)を受けました。H11年度標津町は、道の事業(対象:秋サケ)と協調した地域HACCP推進事業を実施し、前浜の全水産物が対象の「地域HACCPマニュアル」を策定、翌H12年から本格的な実践に入りました。
標津地域では加工等の施設だけを対象にするに留まらず、生産、市場、加工、輸送という、地域の食品(水産物)に関する全工程を通して、HACCPに取り組んでいます。特筆すべきは、米政府が対象としていない、漁業者による漁獲や輸送の工程にも、HACCPの考え方を導入している点です。秋サケの例では、船倉の衛生管理や積載量制限、粉砕氷の清浄性、船倉と漁場海水及び魚体腹部内の温度測定、輸送・保管時の断熱、水揚げ方法、…等、丁寧に危害を避けています。さらに、地域の推進委員会ではHACCPに対応した漁船や市場、加工場、運送業者等の認定を行っている他、製品には認証マークを作製し、イクラ等に表示して地域産品のブランド化を図っています。
これらの取り組みが評価され、H12.8.28~9.21の状況では標津町の秋サケ(雌)は周辺に比べ1kgあたり30~40円高く取引され、HACCP導入効果がくっきりと浜値に現れています。また、地元加工業者と大手スーパーとの新たな契約の締結も生まれました。
最近では、地域の一人一人が「安全・安心な食料を供給していく産地としての責任」の意識を持ち、日頃から漁港周辺の清掃等が行われるようになっているとのことです。
こうした取り組みが広がっていくことを期待しています。