株式会社エコニクス
技術顧問 油津 雄夫
北海道の家畜飼養頭数は乳用牛が88万頭、全国の48%、肉用牛が41万頭、15%、豚が55万頭、6%で、酪農王国北海道を形成しています。
これらの糞尿は推定約1,900万tに達しており、経営規模拡大に伴う労働力不足や高齢化により、経営農地へ還元されているのは糞の約6割、尿・スラリーの4割程度にとどまっていると言われています。これらの管理状況は、糞については8割の農家が堆肥盤を有しているものの、屋根など雨水の流入防止対策が不十分な状況に有り、尿及びスラリーについては2割の農家が素堀り貯留となっています。このため、地下水や河川の汚染、悪臭・病害虫の発生など、家畜排泄物に起因する環境問題が顕在化しつつあり、クリプトスポリジウムなどの病原性微生物による水道水源の汚染なども懸念されています。
このような事態に対処するため、平成11年11月に施行された『家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律』に基づき、現在、「資源循環型畜産確立対策事業」等によるたい肥化施設の整備などが進められているところです。
一方、地球温暖化を防止するために、家畜糞尿からバイオガスを作り、化石燃料の使用を減らす同時に、肥効性の高い、悪臭や病原性微生物が少ない、安全で取り扱いやすい良質な肥料(消化液)に変えるバイオガスプラントに期待が高まっています。