株式会社エコニクス
環境事業部 小山 康吉
北海道は水資源が豊富で、水不足となることが殆どありませんが、北海道における年間降水量は、他の地域と比較すると決して多くはありません。それならば何故、北海道は水資源が豊富かというと、本州に比べ年間降水量に対する降雪量の占める割合が高いことから、冬季間に積雪という形で地上に水の固定を行い、春から初夏にかけてゆっくりと融水するからなのです。ちなみに日本は、平野部の面積が小さく、山から直ぐに海となることから、河川の流域の長さが短いというのが特徴ですので、せっかく降った雨もあっという間に海まで流れてしまい、年間降水量が多いにも関わらず水不足ということが発生してしまうのです。
図 地域別降水量及び水源賦存量
平成17年版日本の水資源について(国土交通省 土地・水資源局水資源部)
お話しを戻し、東川町には「大雪旭岳源水」という、硬度も比較的高く(約100mg/L)、ミネラル分が豊富でともて美味しい湧水があります。湧水がある場所は公園が整備されており、手軽に湧水を汲んだり、周りの豊かな自然を楽しめます。
北海道内にも多くの湧水が存在し、飲料用や調理用として水を汲みに出向いた方も多いかと思いますが、これら湧水には、環境省の名水百選や国土交通省水の郷百選などといった認定などもあり、ちょっとしたブランドとなっている所もあります。
そこで皆さん、どこどこのお水は美味しいといったお話しを聞いたことがあるかと思いますが、実際にはその「美味しい」というものは、人間の感覚であることから、個人差や飲んだ時のシチュエーション、その時の水の状態で違ったりします。といっても客観的にみてどうなのかと知りたくなりますよね。そこで厚生労働省(旧厚生省)が1985年に発表した「おいしい水の要件」というのをご紹介します。おいしい水とは、「ミネラル、硬度、炭酸ガス、酸素を適度に備えた冷たい水」ということになるそうです。その他においしさの指標として「Oindex(Ca+K+Si02/Mg+S04):2.0以上でおいしい水」などがあったり、健康の指標として「Kindex(Ca-0.87Na):5.2以上で健康にいい水」というものもあります。ただ、これもやはりあくまで目安であり、必ずしもこの要件で全てが決定されるわけではなく、この値から外れていても美味しいお水は沢山あります。
表 おいしい水の要件(1985年4月25日 厚生省「おいしい水研究会」発表)
今回は美味しいお水についてお話ししましたが、北海道の豊かな水資源を支える自然環境の保全に対し、これからもお力になれるように努力していきたいと思います。