株式会社エコニクス
環境事業部 泊担当チーム 櫻庭 將藏
海で起こる自然現象には下記のようなものがあり、その運動エネルギーを電気エネルギーに変換して利用します。
- 潮汐 – 月の引力による海面変動
- 海流 – 地球の自転や潮汐により発生する海の流れ
- 波 – 風が海面を揺らして発生する海水の運動
それぞれの自然現象で研究が進められている代表的な発電方法を以下に紹介します。
【潮汐】
潮汐によって海面の水位は、12時間から24時間程度掛けて上下します。この海面の上下動を利用するため、湾口等に広範囲な堰などを設けて、海面の高低差を造ります。海水は海面が高い区画から低い区画へ流れようとします。両方の区画の間に水路を設け、発電機を設置します。海水は水路に集中して勢いよく流れ、プロペラを回して発電します。
【海流】
常に海流が存在する場所を選定して発電機を設置します。海流が直接プロペラを回し、発電します。
【波】
波は、水面が上下する運動と進行方向に進む運動が同時発生する自然現象です。これらを利用して発電する方法がいくつか考えられています。
- ブイ等を海面に浮かせて、海面が上下する運動から電気エネルギーに変換します。
- パイプ等空洞のある構造物や浮体を利用して海面の上下運動を空気の運動に変換します。その空気が出入り口に設置したタービンを回し発電します。
- 防波堤等波の衝突する場所に振り子を設置し、波により動かされた振り子運動を電気エネルギーに変換します。
- 波が乗り越えやすい形状の堰を設けて、閉鎖された区画内に海水を流入させます。堰の下部に小さな水路を設けて発電機を設置します。海水は水路に集中して勢いよく流れ、プロペラを回して発電します。
代表的なものだけでも、これだけの方法が研究されていますが、まだまだ以下のような課題があるため、実用されている例は多くはありません。
- 陸上よりも建設コストがかかる。
- 陸上よりもメンテナンス費用がかかる。
- 台風や地震による津波など、自然災害に対する対策が困難である。
- 安定供給が困難である。
これらの対策を安価に実現することが出来れば、海に囲まれている日本としては自前で豊富なエネルギーを得る事ができるかもしれません。