ECO TOPICSエコニクスからの情報発信
エコニクスからの情報発信
2014.08.01
ECONEWS vol.254

エコロジカル・フットプリント

株式会社エコニクス
環境企画部 佐藤 直樹

 私たちの生活が環境に与える影響を表すものに『エコロジカル・フットプリント(Ecological footprint:以下EF))』という指標があります。
EFは、私たちが消費する全てのエネルギー、水、食料その他の資源の生産と、排出する廃棄物の吸収に必要な陸や海を面積に換算して表わした指標で、私たちが地球環境に及ぼす影響の大きさを「地球の自然生態系(エコロジカル)を踏みつけた足跡(フットプリント)」に例え、このように呼んでいます。
EFの算定には、農作物の生産に必要な耕作地、畜産物などの生産に必要な牧草地、水産物を生み出す水域、木材の生産に必要な森林、二酸化炭素を吸収するのに必要な森林などの面積を総和し表します。単位はgha:グローバル・ヘクタールを使い、数値が大きいほど自然環境に依存していることを示します。

 
(出典: グローバル・フットプリント・ネットワーク)

 EFは、国際比較が可能で、土地の面積に着目するなど直感的に理解しやすい環境指標であるので、イギリス、アメリカ、カナダ、スイス、アラブ首長国連邦、エクアドル、フィンランド、インドネシア、フィリピンなどの国々で、国民生活による環境影響や国内における持続可能性指標として採用されています。
日本では、環境省において1996年から『環境白書』で取り上げられ、2006年には「第三次環境基本計画」の進捗状況を評価するための指標の一つとして閣議決定されています。

 一方、2012年12月10日に、WWFジャパンが「日本のエコロジカル・フットプリント報告書2012(Japan Ecological Footprint Report 2012)」を発表しました。ご覧になられた方もいると思いますが、この報告は特に「食」を中心にした分析を行っており、主な内容は以下のとおりです。

  • 日本の1人当たりのEF4.17gha(世界平均2.7ghaの約1.55倍)、世界37位でありG7の中では最低である。
  • EFの内訳は二酸化炭素吸収地64%と最大、次いで耕作地12%、漁場9%となっている。
  • 需要別でみると、すべてのEFの66%%を家庭での消費が占め、さらにそのうちの約20%が食料にかかわるものである。
  • 日本の食料に関するEFの4分の1を廃棄される食料が占める。
  • この日本の食生活を支える生物生産力は、海外に75%依存している。

 報告書の中では、「日本のEFに関し、相変わらず最も重要なのが食料廃棄量の削減であり、それは最も削減が容易な要素でもある」と指摘しております。
日本のEFを下げる取り組みはこれからも実施していく必要がありますが、家庭で取り組むことは、省エネ・省資源のみではなく食料を廃棄しない食生活を心掛けることも重要なことだと思います。

 
(出典:Japan Ecological Footprint Report 2012)