自然環境部 海域担当チーム
筒井 浩之
函館の水中ライブカメラ前のコンブは末枯れ(VOL.9、Vol.21)が進み、かなり短くなりました。また、コンブ造成で集まるようになった藻場岩礁性の魚類であるアイナメ (写真の赤い丸)は、婚姻色で黄色くなっていました。アイナメの産卵期は秋から初冬ですので、北海道の冬も近いようです。
図1 水中ライブカメラ前の様子(2022年11月18日)
Vol.16では、藻場を評価する方法として、弊社が取組んでいる潜水やドローン、魚群探知機(以下魚探)による方法について紹介しましたが、今回は魚探を用いた手法について、少し詳しく紹介したいと思います。魚探は、その名の通り魚群を探知する機器ですが、海藻も見ることができます(図2)。
図2 計量魚探で確認した海藻(赤い破線内)
弊社では、計量魚群探知機(以下、計量魚探)を導入しています。計量魚探は、音の減衰、出す音の強さや受信するときの感度などを補正して定量性を確保することで、調査した範囲内の魚の量を求めることができます。
同じように調査範囲の海藻の量(重量)も、計量魚探を用いた調査で推定することができると考えており、現在そのための技術の導入を進めています。これができれば、海藻が吸収した炭素量を求めることにも利用できます。
魚探を用いた調査方法は濁り等の影響は受けず、広い範囲を比較的短い時間で調査ができる特徴があります。今後も技術導入に加えて、精度向上にも努めてまいります。
参考文献
藤野忠敬・川端淳・木所英昭(2010)エコーグラム図鑑-日本周辺で計量魚群探知機により観察される生物種別エコーグラム-,独立行政法人 水産総合研究センター 日本海区水産研究所 資源評価研究室.
ブルーカーボン、カーボンニュートラル、クレジット、磯焼け、コンブ、
藻場造成、藻場分布、音響、水産資源、水中ライブカメラ