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エコニクスからの情報発信
2025.05.01
ECONEWS vol.383

小型船舶操縦士特定操縦免許制度の改正について

この改正は、船長の知識や技術を確実に向上させることを目的としています。
弊社では、小型船舶操縦士免許の取得を推奨して、社員に出航判断に必要な知識や操船に必要な基本・応用動作の教育を行い、安全で安心な調査活動を実現しています。

株式会社エコニクス 電力環境部
泊発電所担当チーム 藤巻 寿志

 旅客船の総合的な安全・安心対策を講ずることにより海上旅客輸送の安全を図ることを目的とし「特定操縦免許制度」が改正され2024年4月1日より施行されています。
特定操縦免許とは、自動車免許で言えばタクシーやバスの運転手に必要な第二種運転免許のようなもので、旅客船や遊漁船の船長が取得する必要のある免許です。

 主な変更点を以下に説明します。
 まず、2003年6月以降に実施されていた「小型旅客安全講習」が「特定操縦免許講習」に名称変更され、従来の学科講習(救命科目7時間以上)に加え、船長の心得や出航判断能力に関わる知識等の科目が4時間以上、旅客船の安全運航に必要な基本操縦及び応用操縦に関する実技も4時間以上が必須となり、合計で15時間以上の講習を受ける必要があります。また、講習後の修了試験が新設され、不合格の場合は補講や再試験が必要となります。この改正は、船長の知識や技術を確実に向上させることが狙いとなっています。

引用:国土交通省 海事:特定操縦免許制度について1)
(https://www.mlit.go.jp/maritime/maritime_mn10_000004.html)

 次に、「履歴限定制度」が導入されました。この制度では、沿海区域(海岸から20海里)以遠を航行する総トン数200トン未満の船舶で、船長、航海士または甲板員として1年以上乗務した経験があれば、旧制度と同様に乗務が可能です。新制度の免許では、船長として乗船できる航行区域が平水区域(湖や河川及び港内等)に限定されるため、免許証には黄色背景で「特定限」が表示されます。

 既存の免許保有者には、以下の経過措置が設けられています。2024年3月31日以前に特定操縦士免許を取得した場合、2026年3月31日までは特別な手続きをせずに有効とされます。その期間内に免許を更新すると、新しい免許証には旧制度を示すために「特定」の文字が赤い背景で表示されます。

引用:国土交通省 海事:特定操縦免許制度について1)
(https://www.mlit.go.jp/maritime/maritime_mn10_000004.html)

 既存の免許保有者が経過措置後も旅客船や遊漁船の船長として乗務するには、新制度の免許を取得する必要があります。この場合、学科講習の一部(救命科目)は免除されますが、小型船舶の船長の心得に関する科目、運航に関する科目の修了が必要です。

引用:国土交通省 海事:特定操縦免許制度について1)
(https://www.mlit.go.jp/maritime/maritime_mn10_000004.html)

 弊社では、特定操縦免許の取得までには至っていませんが、小型船舶操縦士免許の取得を推奨して、社員に出航判断に必要な知識や操船に必要な基本・応用動作の教育を行っています。具体的には、天候や海況の判断、航路の選定、船の操作方法などを習得してもらい、実際に操船することで技術を高めています。これにより、社員は実践的な経験を積みながら、安全で安心な調査活動を実現しています。

<参考資料>
1) 国土交通省 海事:特定操縦免許制度について 
https://www.mlit.go.jp/maritime/maritime_mn10_000004.html