ECO TOPICSエコニクスからの情報発信
エコニクスからの情報発信
2025.07.01
ECONEWS vol.385

『海しる』の活用について

株式会社エコニクス 電力環境部
火力発電所担当チーム 石坂 紀子

 皆さんは『海しる』をご存じでしょうか?
 『海しる』とは、海洋関係機関が収集・保有している海洋情報を集約し、衛星情報や海上気象等の情報を地図上で重ね合わせて表示できる情報サービス『海洋状況表示システム(愛称:海しる)』※1のことで、平成31年4月から海上保安庁が運用しているサイトです。以降、『海しる』と称します。

 『海しる』では、サイト上でデータを表示し図を作成することができますが、データをAPI※2として提供しており、JSON※3、GeoJSON※4またはPNG形式でデータを取得することができます。
ダウンロードしたデータをGIS(地理空間情報システム)※5ソフトウェアに取り込み図を作成することもできます。

 弊社では主に漁業権や等深線などの地理空間データをダウンロードして活用しています。今回は、その取得方法について簡潔にご紹介いたします。

 まず、サイトのトップページ上部にある【海しるAPI】を開き、右上部の【APIs】か【項目一覧】から使用したい項目を選択します。
 今回は【共同漁業権】のページを確認します。このページを開くと説明が詳しく記述されているため、一見すると難しく感じるかもしれませんが、実際には簡単にデータを取得することができます。
右側にある緑色の【Try it ▶】を押すと、データを入力する欄が表示されます。

■入力画面(右側)

出典:『海しる』(共同漁業権)https://portal.msil.go.jp/api-details#api=common-fishery-right2024&operation=613802dafc03efa4d61d89cd

①【Authorization】の【Subscription key】の欄にサブスクリプションキー注)を入力します。
②【Parameters】の【geometry】の欄に bbox=左端経度,下端緯度,右端経度,上端緯度の順で記入します(具体的には、bbox=140.7,43.7,142.3,44.6などのように必要な範囲の座標です)。その他の項目は特に変更せず、デフォルトのままで大丈夫です。
③【Headers】の【Ocp-Apim-Subscription key】(途中までしか表示されないのでご注意ください)欄にもう一度サブスクリプションキーを入力し、一番下の黄色の【Send】を押します。

 【200 OK】などOKの表示がでたら作業は完了です。
 そこに表示されたデータの{ から一番下の }までをメモ帳などにコピー&ペーストしてテキスト形式で保存します。
 OK以外の場合は、項目ページにも説明が書いてありますが、ダウンロードするデータが1000件以上と多すぎる場合や、サブスクリプションキーが未入力であったり、座標値が間違っているなどがあるので、これらの点を確認しながら、設定や条件を調整して試してみてください。
注)サブスクリプションキーは、【項目一覧】の隣にある【利用方法】に記載された試用キーのいずれか、または利用登録して発行された個別のキーを使用してください。

■ダウンロードしたデータを表示できるようにする方法
ArcMap (ArcGIS※6)の場合:
 作業用フォルダーにテキストデータを保存し、拡張子の【.txt】を【.json】に変換します。
 ArcMapを開き、【Toolbox】→【変換ツール】→【JSON】→【JSON → フィーチャ(JSON To Feature)】を選択し、入力欄に【.json】のデータ、出力欄に保存する場所と名前を入力して【OK】でデータが作成されます。

QGIS※7の場合:
 QGISを開き、テキストデータをドラッグ&ドロップで読み込みます。変換したいレイヤーを選択し、レイヤーを右クリック、【エクスポート】→【新規ファイルに地物を保存(バージョンにより文言が違います)】を選択します。フォーマットは【GeoJSON】を選択し、保存先とファイル名を指定し保存でデータが作成されます。

■ArcMapで作成した図


■『海しる』で利用できるデータ(※ APIでダウンロードできないデータもあります)

出典:『海しる』(トップページ)https://www.msil.go.jp/msil/htm/topwindow.html

 『海しる』以外にも、『国土数値情報ダウンロードサイト』※8や『自然環境WebGIS(生物多様性センター)』※9など、無償で利用できるデータを提供しているサイトは多数あります。
 それらのデータを活用し、お客様のニーズに合わせてわかりやすい資料を作成できるよう、今後も勉強していきたいと思います。

■参考サイト
※1「海洋状況表示システム(愛称:海しる)」https://www.msil.go.jp/msil/htm/topwindow.html
※2「IT用語辞典e-Words(API)」https://e-words.jp/w/API.html
※3「IT用語辞典e-Words(JSON)」https://e-words.jp/w/JSON.html
※4「GeoJSON」https://doc.arcgis.com/ja/arcgis-online/reference/geojson.htm
※5「国土地理院(GISとは・・・)」https://www.gsi.go.jp/GIS/whatisgis.html
※6「ArcGIS」https://www.esrij.com/products/arcgis/
※7「QGIS」https://qgis.mierune.co.jp/
※8「国土数値情報ダウンロードサイト」https://nlftp.mlit.go.jp/ksj/
※9「自然環境WebGIS(生物多様性センター)」http://gis.biodic.go.jp/webgis/index.html