株式会社エコニクス
技術開発部 環境監査グループ 伊藤 司
私は、1997年6月から1998年3月までの10ヵ月間、財団法人海外漁業協力財団の派遣専門家として、南太平洋のソロモン諸島国において沿岸漁業を振興するための支援業務を行ってきました。その滞在期間中の生活に伴い排出した二酸化炭素(CO2)量を環境庁地球環境部発行の『環境家計簿』を用いて記録してきましたので、その概要を報告します。
下表にソロモン諸島国における結果を北海道における同様の結果と比較して示しました。滞在中のエネルギー消費に起因するCO2の排出量の合計は305.83kgで、この値は北海道における排出量の約1/4にあたります。ソロモン諸島国と北海道とでは気候の違いがあるため、エネルギー消費の形態には大きな違いがありますが、特徴的なのは、電気使用に伴うCO2の排出量が全体の89%を占め、北海道の1.72倍となっていることです。このことは、照明器として専ら白熱灯が用いられている等、省エネを考慮した電気製品が普及していないことが理由として挙げられます。
ソロモン諸島国と北海道のCO2 排出量の比較(9カ月間/家庭当り 単位:kg)
注1)ソロモン~1997年6月から1998年2月までの9カ月間、2LDK、1人、車無し
注2)北海道~1997年7月から1998年3月までの9カ月間、2LDK、2人、車1台
一方、日本では全体の54%が自動車用ガソリンの燃焼に伴うものとなっています。これらの結果は、昨年12月に開催された地球温暖化防止京都会議で問題となった、発展途上国と先進工業国における温暖化防止に向けた異なるアプローチの設定の重要性に関連付けることができます。
つまり、発展途上国においてはあらゆる分野における開発において省エネ(そして環境負荷が小さい)設備及び技術の導入が促進されるべきであり、そして、先進工業国においては、自動車の絶対的な使用頻度を少なくすること等を含めたライフスタイルの変化がなされるべきであるこということです。環境家計簿をつけてみて、先進工業国の地球環境保全のための責任の大きさを改めて痛感しました。