ECO TOPICSエコニクスからの情報発信
エコニクスからの情報発信
2023.03.01
ECONEWS vol.357

お任せください海棲哺乳類調査

株式会社エコニクス 自然環境部
海域担当チーム 大坂 縁

弊社では、海棲哺乳類(クジラ・イルカ・アシカ・トド・アザラシなど)調査のうち、主に船上での目視観察、鯨類の鳴音解析を行っております。

皆さまは、野生の海棲哺乳類を見かけたことがありますか?
最近では、大阪の淀川でマッコウクジラ、東京湾でトドが見つかるなど、野生個体の発見が話題となっています。また、北海道では、道東で野生のラッコが毎年確認されるようになりました。
海を眺めていると海棲哺乳類は意外といるもので、北海道では春~夏にイルカ、冬にトドやアザラシをよく見かけます。目が慣れないと見つけることは難しいようですが、弊社では無類のクジラ・イルカ好きの調査員が在籍しており、嬉々として海棲哺乳類を探しています。


海棲哺乳類目視観察の様子

海上での目視観察調査は、航行する船舶の船首に立ち、数時間ずっと海を眺めています。肉眼で全体を見渡しつつ、双眼鏡を覗いて観察するのですが、揺れる船上で双眼鏡を覗き続けるのは想像以上に過酷で集中力が必要な調査となります。
では、実際にどのように見えるでしょうか。実際に発見した際の写真がこちらです。


北海道太平洋沿岸(弊社社員撮影)

 この中にイルカが複数確認されました。どこにいるかわかりますか?

水族館のショーを想像すると、水面から全身を出してジャンプするイルカを思い浮かべるのではないでしょうか。実は、野生のイルカやクジラは、あまり全身を見せてくれません。彼らは呼吸のため水面に来るため、背びれやしぶきだけしか見られず、海上で身体の一部を探すしかありません。

目視観察では、海上から下記の特徴を見つけ出し、種まで同定します。
・背びれ、尾びれの形、模様
・噴気
・跳ねたときのしぶき
・ジャンプ
種によっては噴気やしぶきに特徴があり、それだけで判別する場合もあります。

これを踏まえた上でもう一度写真を見てみましょう。◯で囲まれた中にイルカがいます。


北海道太平洋沿岸に現れたカマイルカ(弊社社員撮影)

見つけられたでしょうか?とても小さく見えますが、目視観察でも最初の発見はこの程度の大きさです。
このイルカは背びれの特徴から、「カマイルカ」であることがわかりました。カマイルカは春~夏に北海道沿岸で最も見られる種です。


2頭のカマイルカ(拡大)

 6月頃にフェリーで津軽海峡を渡ると数百頭もの群れを見ることができたり、室蘭や羅臼ではホエールウォッチングが行われたりと、一般の方も発見する機会があります。
ぜひ一度、忙しない日常から離れて、ゆっくりと海を眺めてみてはいかがでしょうか。