株式会社エコニクス
顧問 駒木 成
コンブ類は、奈良~兵安朝時代頃から朝廷への蝦夷献上品として、さらに鎌倉~室町時代頃からは本州への蝦夷三品交易物(鰊・鮭・コンブ)の一つとして古くから知られており、さらに近年は健康食品として貴重なものとなっています。
コンブ類についての分類、生態、水環境、人工栽培、漁業生産という、一連の科学技術は、大学・国や道立の水産研究機関・市町村・漁業組合など、いろいろな研究陣によって、目覚ましく進歩してきました。一方では、コンブ類の収穫豊凶原因を巡って、時には「水温が高いため不作」、またあるときは「水温が低いため不作」という、一見矛盾したような報道もありますので、多くの先達が苦労して獲得した多種多様な情報を肥として、何が解って何が解らないかを整理することも、また大切と思います。
普通、コンブ類と言われるもののうち、長い帯状と褐色の葉で品質良く食用に供され、産業価値の高いコンブ類は、主に東北や北海道で生育している北方系のものに限定されるようです。北海道産のものでは、マコンブ・ホソメコンブ・リシリコンブ・オニコンブ・ナガコンブ・ガッガラコンブ・ミツイシコンブ・エンドウコンブ・チヂミコンブの葉が枝分れしない単葉9種類が知られています。また、葉が枝分れする裂葉のものは1種類、ネコアシコンブがあります。
これら産業種の中でも、特に、暖流系と言われているマコンブ・リシリコンブ・オニコンブ、寒流系と言われているミツイシコンブ・ナガコンブの、合計5種類は、品質・生産量ともに優れており、こんぶ(昆布)干製品として市場性の高い種類であり、オニコンブは知床半島東岸の羅臼を主産地とすることから、羅臼コンブとも呼ばれています。