株式会社エコニクス
経営管理部 経営企画グループ 山田 宗伸
百貨店やショッピングモール等では冬物商品の販売が本格化し、衣類系の売り場では「WARM BIZ」というオレンジ色のポップを目にする機会が増えたのではないでしょうか。
今回は、そのWARM BIZも一躍を担っている、「チーム・マイナス6%」についてお届けします。
●チーム・マイナス6%のはじまり
平成9年12月に採択された京都議定書の目標達成のために、「地球温暖化対策に向けて国をはじめ地方公共団体、各企業、そして国民の一人ひとりが協力して地球温暖化対策に取り組む」という方針が平成17年4月28日に閣議決定されました。
そして同日、地球温暖化対策推進本部(当時、本部長:小泉純一郎内閣総理大臣、副本部長:小池百合子環境大臣、副本部長:中川昭一経済産業大臣)によって幅広い主体による参加型の「国民運動」を推進するプロジェクトとして、「チーム・マイナス6%」が立ち上がりました。
このプロジェクトが発足した背景に目を向けると、京都議定書による我が国の国際的な約束(平成2年の数値を基準とした温室効果ガス排出量6%削減温)の達成に向け様々な取組みが行なわれる中、エネルギー消費に関係する排出量は年々増大傾向(平成14年:11%)にあった事に起因するようです。その増大傾向に歯止めをかけるべく発足したのが、本プロジェクトです。
京都議定書によって、わが国が世界に約束した温室効果ガス(CO2)削減目標は、平成2年の数値を基準とした温室効果ガス排出量に対し6%削減と設定されていることはご存知かと思いますが、この目標達成に向けての具体的な国民的プロジェクト、それがチーム・マイナス6%なのです。
本プロジェクト発足と同時に、参加、交流、情報提供の場としてインターネット上に「チーム・マイナス6%」のWebサイトが開設され、国民一人ひとりに対して地球温暖化防止に向けた行動を呼びかけています。
●エコニクスでの取り組み
当社においても、環境というキーワードはエコニクス(事業)そのものであり、我々が社会へ貢献を行なうための大切なチャネルでもあります。
当社では、ISO14000認証取得時から、社内の様々な場面において地球温暖化防止を意識した活動を継続しておりましたが、札幌市より協力希望の依頼をうけて、平成18年2月初旬に登録申請を行い、同月16日に申請受理を経てた後「チーム・マイナス6%」への参加をしました。
偶然の一致か否かは定かではありませんが、この2月16日は京都議定書が発効された日(平成17年)でもあります。
社内においては、参加申請の受理後直ちにWARMBIZ宣言がなされ、室温20℃~22℃の維持を社内に呼びかけました。
その結果、宣言を行なった2月から3月にかけての空調設備使用時におけるCO2排出量は、前年同期間と比べて平均気温は同レベルで推移したにも拘らず、下記の通りパフォーマンスが得られました。
その後、平成18年4月に「チーム・マイナス6%」を見据え、当社における環境方針を以下の通り改訂しました。
エコニクスは、当社の事業活動が環境に及ぼす有益な影響と負の影響を常に認識し、それらに関して目的・目標を定め、定期的な見直しによるシステムの継続的改善と汚染の予防によりCO2にターゲットを絞ったパフォーマンスの向上を図る。
また、全社員ならびに関係組織へ環境方針を周知し、法の遵守はもとより環境に対する取り組みの理解と意識の向上に努める。
そして、WARMBIZ実施の際には、経営トップからの通達による啓蒙活動に留めておりましたが、さらなるパフォーマンスの向上を目指し、平成18年7月~9月の期間を「COOLBIZ月間」と定めた上で以下のアクションを実施しました。
・社内各フロアのモニタリングポイントでの室温を28℃程度に維持する(社内衛生部会により推進)
・空調設備の操作パネル、受付、執務室、応接室、会議室にて掲示物による啓蒙
・サインカードの装着
・服装の軽装化を奨励(経営者自ら実施)
・積極的な外気の取り込み
・扇子、団扇の活用 等
<上記アクション実施における取り組み風景>
空調操作パネル 受付用ポスター サインカードの装着
軽装 卓上型サイン軽装 団扇・扇子
その結果、空調設備使用時におけるCO2排出量は、前年同月期間に対して25%(205KgC)の削減を達成することができました。
これは、なんと樹木約228本分のCO2吸収量に相当する計算になります (樹齢100年程度の樹木1本あたりのCO2吸収量0.3KgC/月で算出)。
※参考文献:北海道森林管理局 法人の森林による環境貢献度 平成16年報告
この取り組み結果から、スローガンのみに留まらず“必要な取り組みを見える形で実施”することで、パフォーマンスの向上が図られた事もひとつのポイントであると考えられます。
環境負荷に対する取り組みは、規模の大きなものから小さなもの、長期間に渡るものから短期間で行なえるもの等があり、それらをポジショニングしてみると以下の通りとなります。
環境負荷に対する活動は、国の政策や事業所の企業努力によって様々な取り組みが実施されています。
例えば、ゾーン2等に属するものとしては
・ 自然エネルギーを用いた発電
・ バイオエタノールの有効活用
・ ハイブリッド技術の推進
・ 燃料電池
等があげられます。
これらが機能し出すと、CO2の排出抑制は大きな期待が持てますが、それだけで全てが解決できる訳ではありません。今回ご紹介させて頂いた弊社の取り組みはゾーン3に属し、このような小さな取り組みの積み重ねも必要となってきます。
地球に暮らす私達一人ひとりがこのような意識を持ち、その意識が繋がっていくことが「チーム・マイナス6%」が望む姿ではないかと考えます。
大きな変化も、最初は小さな変化が必要です。
WARMBIZシーズンの到来にあわせて、一人ひとりのレベルから今一度生活を見直してみるのには良い機会ではないでしょうか。
先人達から受け継いできた、私達が生涯に渡ってお世話になる地球。
環境基本法の基本理念に「環境の恵沢の享受と継承等(第3条)」と謳われているとおり、汚したまま後世へ引き継ぐことだけは避けたいものですね。
●参考情報
家庭の暖房を1℃下げると・・・
灯油 :約100リットルの節約(一世帯で一年間)
CO2:240KgCの削減