株式会社エコニクス
企画部 企画グループ 吉澤 香
バイオレメディエーションという環境修復技術は、汚染現場に特定の微生物を増殖させたり、もともと存在しなかった微生物を注入したりする手法なので、適用現場の生物環境を変えてしまう可能性があります。このため、浄化処理による二次廃棄物の発生が少なく、省エネルギーであるという利点の裏には実施に伴う環境影響が懸念されます。
環境庁は、「バイオレメディエーション環境影響評価手法検討会」でまとめられた報告書を「微生物を用いた環境浄化の実施に伴う環境影響の防止のための指針」としてまとめ、1999年3月24日に都道府県宛てに通知しました。
これには、環境浄化の実施に伴う環境影響の未然防止を図ることを目的として、微生物を用いた環境浄化を実施する際に満たされるべき項目や環境影響評価に必要な事項、実施体制、地域の理解等についての指針がまとめられています。
実施に伴う問題として重要視されている事項の一つは、人や生態系への影響、利用微生物の環境中への残留、栄養分等として注入される物質の影響、および有害な副生成物が生じる可能性等の技術的な問題です。さらに、パブリックアクセプタンス(社会的受容性と訳され、国民的、社会的な合意を得ること並びにそれをなしうるための行動のこと)も非常に重要な課題とされています。
このように適用に際しては未だ課題をかかえていますが、生物を利用した様々な環境修復技術は環境への負荷や消費エネルギー面から、うまく運用されれば非常に有効な技術であり、今後の発展が期待されています。
図 国内における土壌・地下水汚染プロセス(総件数132件)
(社)土壌管理センター第5調査研究部会報告書