藻場通信を始めてもう早8ヶ月目です。弊社が函館に設置したカメラの前で立派に育ったコンブは魚の蝟集場所になり、ウニ等の植食動物に食べられているような形跡も多々見えてきました。
写真1 8月のコンブ状況
今年の北海道のコンブはどうなっているでしょう?
新聞報道等によると、道産コンブ格付(北海道水産物検査協会によりコンブの品質で等級分けされ製品化されたコンブ)実績による4~7月までの天然・養殖・促成コンブの累計は約190万トンになり、昨年より約1割多くなっているとのことです。地域によってコンブの繁茂状況には良し悪しがあるようですが、私が訪れた地域の漁業者や漁業協同組合の方々からは「例年より比較的良い繁茂状況」という声を聞きました。
実際に弊社が調査した漁港周辺の海中(写真2)をみると、水深の浅い転石帯にはコンブが広範囲に繁茂し、魚が蝟集していました。
写真2 コンブと蝟集する魚たち
ところで、コンブはウニにとって大好物であることが知られていますが、私が好きなウニはどうでしょうか。
今年は漁業者や漁業協同組合からの声だけでなく、弊社のウニ歩留まり調査でも例年よりウニの身入りが良い状況を確認しています。ウニは雑食性で海藻だけでなく、ヒトデ、魚の死骸など様々な物を食べますが、コンブやワカメを多く食べるウニは身入りが良く、雑味が少なく、甘味が増すと言われています。
コロナウィルス禍で、おいしいウニを提供している店に気軽に食べに行けなくなったので、近所の水産物専門店で塩水ウニを購入して自宅で食べてみました。私にはこれまで味わったことがないくらいキタムラサキウニが甘く、バフンウニに勝るとも劣らない美味しさでした。
写真3 キタムラサキウニとバフンウニ
(食卓にて。左上がバフンウニ、他がキタムラサキウニ)
今年のようなコンブの繁茂状況が良い年に、今まで味わったことがないくらい美味しいウニを食べることが出来たので、美味しいウニを食べるにはコンブや海藻が繁茂している藻場がとても重要だと感じました。
次回は、9月25日公開の予定です