地球は今、私たちの想像をはるかに超えた規模の環境問題に直面しております。そのような中で、今年、北海道洞爺サミットが開催されることは非常に意義深いことです。このサミットを通じて世界に北海道の環境に対する取り組みをアピールするチャンスであると感じます。
弊社もサミットの成功に向けて、できる限りの応援をしていきたいと考えております。
皆様に北海道の持っている健全環境の恩恵が末永く続きますようご祈念申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。
本年の干支は鼠(ネズミ)ではありますが、北海道に生息するネズミ類はいったいどれくらい居るかご存知でしょうか。通常、トラップ調査において捕獲される可能性があるものは2目2科13種となっています。
ネズミ類は分類上ではネズミ目(齧歯目(げっしもく))となり、下記のトガリネズミなどは種名にネズミとはついていますが、厳密にはネズミの仲間では無いのです。どちらかというとモグラやハリネズミの方が近く、逆にネズミは分類上ではリスやモモンガの方が近縁なのです。
厳密にはネズミでは無いトガリネズミの話となるのですが、日本では北海道にしかいない世界最小の哺乳類で(頭から胴まで45~49mm、体重1.5~1.8g)、トウキョウトガリネズミという種が生息しています。生態的に劣勢であるため、生息数が非常に少なく、捕獲された例も少ないことから、野生における生理・生態について不明な点が多く、まだまだこの生き物について判らないことだらけです。
(トウキョウトガリネズミ Sorex minutissimus hawkeri :円山動物園HPより)
しかし日本では北海道にしか生息しないのに、なぜトウキョウトガリネズミと種名についているのかと言うと、1903年にイギリスのhawkeriさんが採集したときの標本ラベルに「Inukawa Yedo」と書いてたということから、「東京の犬川」という所で採集されたのだろうと判断され、「Yedo」が「東京」なのでトウキョウトガリネズミとつけられました。その後、北海道にしか生息されていないことや東京に犬川という地名がないことから再度調べられた所、「Mukawa Yezo」と書いてあることが判り、「北海道の鵡川」で採集されたことが確認されました。
このように名前の由来がちょっと笑ってしまうような小さな哺乳類ですが、先程も述べたように生息場所が湿原周辺の草地(寒冷地の隙間の多い腐植層の中で生活)であることから生息数が非常に少ない生き物です。今年の干支がネズミであるということを機会に、こんな生き物も北海道に居るというを知って頂ければ幸いです。
Econews編集 環境事業部環境事業G 小山 康吉
■参考資料
阿部永・石井信夫・伊藤徹魯・金子之史・前田喜四雄・三浦慎悟・米田政明.2005.日本の哺乳類[改訂版].東海大学出版会,東京,206pp.