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2018.09.01
ECONEWS vol.303

日光浴のすすめ…手の甲を太陽に!?

株式会社エコニクス 環境戦略部
電力担当 多田 憲司

 茹だるような暑さが続き、7月23日には埼玉県熊谷で41.1度という国内最高気温を記録した2018年の夏でした。8月中旬には札幌の暑さもひと段落し、朝晩は涼しすぎる日もありました。この暑さがもう少し続いてほしいと願う方、いい加減もういらないと思う方などさまざまかと思いますが、太陽の恵みを欲しているのは太陽光発電もその一つです。

 その歴史を繙くと、1973(昭和48)年の第一次石油危機を機に石油に代わる新エネルギーの開発が急務となり、1974(昭和49)年に新エネルギー開発を目的としたサンシャイン計画がスタートしました。1978(昭和53)年には省エネルギー技術の開発を目的としたムーンライト計画がスタートしました。そのような中、1980(昭和55)年に「石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律(現 非化石エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律)」が制定され、石油の代わりになる太陽光や風力など自然エネルギーに関する様々な研究開発がさらに進みます。今では当たり前に使われているソーラー電卓もこの頃に開発された技術で、太陽光発電の大きな一歩になったといわれています。

 話は変わりますが、人間も太陽の恩恵を受けているのは皆さんもご存じのとおりです。人体内でコレステロールから生成されるビタミンDは、生成の過程で皮膚に紫外線を受けなければなりません。日焼け止めを塗ると当然のことながら紫外線がカットされるため、生成が阻害されます。

 インターネットで検索をしてみると、いろいろなWebサイトで情報を得られますが、ビタミンDが多く含まれる食材は魚のようです。食物から摂取するのであれば、魚が一番!ということになります。

 厚生労働省のホームページで公表されている「日本人の食事摂取基準」(2015年版)によると、成人の1日のビタミンD摂取量の目安はおよそ5.5μgとなっています。これをすべて人体で生成するとなると、いったい何分ぐらい日光を浴びないといけないのかといった疑問が湧いてきました。

 独立行政法人 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構のホームページで公開されている研究成果に、この問いに対する答えが掲載されていました。この研究では、札幌、つくば、那覇の3地点を対象に、季節や時刻を考慮した数値計算により試算された日光浴の時間が紹介されています。

 この研究成果によると、両手、顔を晴天日の太陽光に露出したと仮定した場合、7月の晴天日の12時では那覇では2.9分、つくばが3.5分、札幌は4.6分で必要量のビタミンDの生成を行うことが出来るようです。一方で12月の晴天日の12時では、那覇が7.5分、つくばでは22.4分、札幌は76.4分と、冬の札幌では那覇の10倍の時間がかかることが分かったとのことです。冬季の札幌でこれだけの太陽光を浴びるのは、スキーに行ったとしても難しいですね。よって冬季はおとなしく魚の鍋を突っついてビタミンDを摂取するのが一番でしょうか。

 もうすぐ秋の声も聴かれるこの時期ですが、残り少ない夏を日光浴で楽しむのもよいのではないでしょうか。

<参考文献>
新エネルギー・産業技術総合開発機構 (2007)なぜ、日本が太陽光発電で世界一になれたのか(NEDO BOOKS).

“紫外線”.Wikipedia.
< https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B4%AB%E5%A4%96%E7%B7%9A >.

“ビタミンD”.Wikipedia.
< https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%93%E3%82%BF%E3%83%9F%E3%83%B3D >.

“体内で必要とするビタミンD生成に要する日照時間の推定-札幌の冬季にはつくばの3倍以上の日光浴が必要-”.国立環境研究所.
< https://www.nies.go.jp/whatsnew/2013/20130830/20130830.html >

“ソーラーパネル”.パブリックドメインQ.
< https://publicdomainq.net/solar-panel-photovoltaics-0000003/ >