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エコニクスからの情報発信
2022.04.01
ECONEWS vol.346

楽しく安全なダイビングライフを!

株式会社エコニクス 電力環境部
泊発電所担当チーム 石原 樹

 

 近年、新型コロナウイルスの影響により人の集まる機会が減り、屋外でのレクリエーションに関心が集まっています。特に密になりにくいという理由から、ゴルフやオートキャンプなどが注目されています。
屋外レクリエーションが注目される中、レジャーダイビングの人口が減少しているそうです。国内のレジャー市場を分析した「レジャー白書」によると、2016年には140万人ほどいたダイビング人口が、4年後の2020年ではおよそ1/3の50万人となっています。しかし、その一方でダイビングを「やったことはないけれど、やってみたい」と希望する潜在需要人口は、なんと2016年の404万人から465万人と60万人も増えています。レジャーダイビングを経営している知人からは、「密にならず屋外で楽しめる理由から初心者ダイバーの方も増えてきている」という話も聞きます。

 

 水族館のような美しい海の中の世界を見ることができるダイビングですが、その反面、危険な生物や機材のトラブルなど、命に危険を及ぼす出来事が起こる可能性もあります。私たちダイバーも、普段の潜水作業時には常に安全に気を配り健康状態や機材のチェックを行っていますが、それでも危ない場面に遭遇することがあります。

積丹半島沿岸部某所

 

 とある港の現況調査でした。水深3m付近を潜水し、作業を終えて浮上しようとしたところ、副鼻腔に痛みが走りました。「リバースブロック」とよばれ、『体内の圧力>外部の圧力』となった際に起こるもので、副鼻腔や中耳腔に入った空気が浮上時に体外へ排出されず残留することで、膨張し痛みを引き起こすものです。反対に、『体内の圧力<外部の圧力』の状態は「スクイーズ」と呼ばれ、耳管や鼓膜に圧力がかかることで痛みを生じます。これは飛行機の離着陸の際にも経験された方も多いかと思います。

 

出典:梅田他(1989) ダイビングと耳鼻咽喉科疾病

 

 リバースブロックになった場合、『体内の圧力=外部の圧力』になるまで深度を下げる必要があります。その後、パニックに陥らないようゆっくりと深呼吸しながら、少しずつ浮上をすることで解消されます。
リバースブロックの起きる原因は多々ありますが、主な原因は風邪や鼻炎がほとんどとされています。鼻炎などにより鼻腔の粘膜が腫脹することで、副鼻腔や中耳腔に溜まった空気が排出されなくなり痛みを引き起こします。浅海域での作業のため大事には至りませんでしたが、水深が深くタンク残量も少ないときに起こっていたら、と考えるとゾッとしますね。

 潜水作業の際は、リバースブロックのほかにも様々な潜水障害や事故などが発生する可能性があります。ちょっとした体調の変化でも、小さな油断が大きな事故を生む場合もあります。そのため、私も日ごろの体調管理を怠らず、新型コロナウイルスにも負けない身体づくりを心掛けています。

 安全についてしっかりと注意をすれば、最高に楽しいダイビング。私たちが日ごろ潜っている積丹半島沿岸部も有名なダイビングスポットがあり、夏にはたくさんのダイバーが集まります。いろいろと制約の多いこのご時世ですが、ダイビングに対して興味をお持ちでしたら是非このきれいな積丹半島の海を体験してみてください。

積丹半島沿岸部某所

 

【参考文献】
梅田悦生・植松美紀子・吉岡博英(1989):ダイビングと耳鼻咽喉科疾病.耳鼻と臨床,35巻5号,847-852.