ECO TOPICSエコニクスからの情報発信
エコニクスからの情報発信
1997.04.01
ECONEWS vol.046

水草は「生態系」のゆりかご

株式会社エコニクス
環境技術部 技術研究グループ 石原 知佳

 水草とは水中や湿った環境下で生活する植物のことで、学問的には水生植物と呼ばれます。広義的にはコケ類や藻類も含めることもありますが、一般的には水生の維管束植物(シダ、種子植物)のことを指します。水草はその生活形から抽水植物、沈水植物、浮葉植物、浮漂植物に分けられます。

 最近、水辺環境の大切さが再認識され、多自然型川づくりなどにみられる、人間が親しめる潤いのある水辺を求める動きが大きくなってきています。

 以前は、水辺に生息する水草は水質汚染の原因だとして刈り取られる例もありましたが、現在では、水草とその周辺を取り巻く生態系(水草生態系)の働きが重要視されてきています。水草とそれに着生する生物の働きとして期待されることとしては、水生植物による栄養塩の吸収・除去、水生植物の根圏に生息する生物や付着生物による有機物減少など、水質を浄化する働きと共に、魚類を含めた水生動物に餌や繁殖場所の提供、またカモなどが餌を求めて訪れるなど、豊かな生態系と好ましい水辺の景観を創出できる利点があげられます。

 このように、水草生態系は自然豊かな景観を創出するだけではなく、水質の浄化や生態系保全にも役立っているのです。