電力環境部 泊発電所担当チーム
藤巻 寿志
近年、再生可能エネルギーが着目され、私の生まれ育った北海道積丹半島の南西部に位置する泊村(とまりむら)も「北海道岩宇(がんう)及び南後志地区沖」として海洋再生可能エネルギー設備整備促進区域の指定に向けて一定の準備段階に進んでいます。
すでに昨年から漁業者への協力依頼として漁船の傭船(手配)がなされ調査を実施し始めており、私の実家も漁業を営んでいることから、調査員の方々を乗船させ調査を実施しています。
調査に使用する漁船にもそれぞれ特徴があり、刺網、定置網、イカ釣り、延縄(はえなわ)など漁法や漁獲物に特化した構造になっているため、甲板(かんぱん)の広さや舷(げん)の高さ等、船内設備に違いがあります。
特にイカ釣り船は両舷に自動イカ釣り機が設置され船首と船尾を行き来するための両舷の通路が狭くなっており、各調査会社の作業員の方々は船内での移動に特に苦労されているような状況が見られます。
弊社でも長年、泊村周辺海域のモニタリング調査で漁業者の協力を得て調査を実施していますが、その際も漁船を使用しています。やはりイカ釣り船を使用する際の船内移動は一苦労しています。
図 イカ釣り船
さて、海域調査の実施には漁船の使用は欠かせませんが、一般の漁船では民間機関の調査は実施できないことを皆さんはご存知でしょうか?
漁船とは「(1)もつぱら漁業に従事する船舶」、「(2)漁業に従事する船舶で漁獲物の保蔵または製造の設備を有するもの」、「(3)もつぱら漁場から漁獲物またはその製品を運搬する船舶」、「(4)もつぱら漁業に関する試験、調査、指導もしくは練習に従事する船舶または漁業の取締りに従事する船舶であって漁労設備を有するもの」と、漁船法第2条に規定されています。このため、弊社が海域調査に用いる漁船は、漁船法第2条に適用される漁船を漁業以外の用途で使用することが可能となる「小型兼用(けんよう)船」の検査を「JCI日本小型船舶検査機構」より受け、漁業と兼用する「小型兼用(けんよう)船」として登録されている漁船を傭船して海域調査を行っています。
図 検査が必要な船舶(参考資料2)より一部抜粋)
漁業者の方々には自らの漁船を小型兼用船として検査・登録してもらい、本業である漁業の傍ら調査に協力していただいております。エコニクスは今後も漁業者の方々と良好な関係を維持しながら、日々の調査に取り組んで参ります。
参考資料
1)e-GOV法令検索 漁船法(昭和二十五年法律第百七十八号)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=325AC1000000178
2)JCI日本小型船舶検査機構 検査対象船舶
https://jci.go.jp/inspection/kensataishou.html
漁船、小型兼用船、漁船法、JCI日本小型船舶検査機構、エコニクス再生可能エネルギー、泊村、北海道岩宇及び南後志地区沖、整備促進区域