株式会社エコニクス
環境事業部 泊担当チーム 大友 雅之
海の中には陸上の生物とは一味違った形態や生態を持つ生物がたくさん生息しています。こちらの写真はカジカの仲間のガンコ(硬骨魚綱カサゴ目ウラナイカジカ科ガンコ)という魚です。
カジカは水中では周りの環境にとけこむような体色をしたものが多く、岩と見間違える事もしばしばです。岩に擬態しているつもりなのかは不明ですが、稀に体を持ち上げてもじっと身をこわばらせ、岩になりきってしまうカジカに出会う事もあります。 ちょっととぼけているところもあるこのカジカですが、餌を捕食する際の俊敏な動きは目を見張るものがあります。餌となる魚などを一瞬にして周りの水ごと大きな口で吸い込み、必要のない水はエラから出して獲物を丸飲みにしてしまいます。その様は圧巻の一言に尽きます。
こちらはミズダコ(頭足綱八腕形目マダコ科)です。こちらに写っているものは小型のものですが、本来ミズダコはタコの仲間では最も大きくなり、大型のものは足を広げると3m近くにもなります。ミズダコは好奇心が強く、大型のものだとタコの方からダイバーに絡みついてくることもあり、潜水作業中に大きなミズダコに遭遇した時は、身の危険を感じる事もあります。このミズダコですが餌は魚類や貝類、ケガニやタラバガニなどの甲殻類、ウニなども食べてしまいます。これらの高価で新鮮な海産物を毎日食べているなんてうらやましい限りですね。
これは冬の日本海でビデオ撮影を行っている際に偶然出会ったトド(哺乳綱ネコ目(食肉目)アシカ科トド属)です。実際に水中で遭遇した時は「誰かほかのダイバーが来たのかな?」なんて思ってしまいました。襲われると言った話は聞いたことが無かったのですが、出会った時はその体の大きさからさすがに驚いてしまい船に逃げ帰ってしまいました…
トドは海獣類の中でも体は非常に大きく、メスでは体長2.3m、体重300kg、オスは体長3m、体重はなんと1000kgを超えるまで成長するものもいます。その食欲も旺盛で、1日当たり20kg近くの魚介類を食べると言われています。
道内の沿岸域では、トドによる漁業被害が深刻な問題になっており、漁業被害額も毎年10億円以上と非常に大きな被害を被っています。このことから近年、トドの駆除が行われており、漁業被害の大きい地域からは駆除するトドの数を増やして欲しいといった要望が多くでているようです。しかし、トドは国際的に希少な生物に指定されており、駆除する数を簡単には増やせないといった現状があります。
私たちの食を支えている北海道の漁業と、世界的にも希少な生物であるトドがうまく共存できるような海洋環境を、私たち人間が知恵を出していかなければならにないでしょう。
今回は「海の生き物たち」と題してご紹介させて頂きました。これからも様々な生き物たちと出会い、驚きと喜びを感じていきたいと思っています。しかし、ここでご紹介いたしましたトドだけに限らず、数多くの動植物が絶滅の危機に瀕している現状があります。出来るだけ自然環境に負荷をかけず、自然と共存していけるような環境作りをしていきたいものです。