廃棄物の取り扱いには、同じ品目の廃棄物であっても産業廃棄物なのか、それとも一般廃棄物なのかの確認が必要です。さらに排出経路によって分類そのものが変わることがあります。
株式会社エコニクス 電力環境部
泊発電所担当チーム 東 芳
皆さんは廃棄物と聞くと、どのような廃棄物(ごみ)を思いつきますか?
私は、各種の事業活動で排出される廃棄物といえば汚いものや危険な物を想像していましたが、ここ数年廃棄物の排出データに関する業務に携わり、少しイメージが変わりました。
一般的にごみと呼ばれる廃棄物は、大きく分けて「産業廃棄物」と「一般廃棄物」の2つに区分されることは、多くの方がご存じかと思います。産業廃棄物は、事業活動に伴って生じる廃棄物のうち、廃棄物処理法で定義された20種類の廃棄物のことをいいます。代表的な産業廃棄物には、石炭がらや焼却炉の灰などの「燃えがら」、鉱物性油や動植物性油などの「廃油」、鉄鋼または非鉄金属の破片や研磨くずなどの「金属くず」などがあります。また、産業廃棄物の中でも爆発性や毒性があり、人々の生活に危険を及ぼす可能性があるものは「特別管理産業廃棄物」といいます。これら廃棄物の処理責任は、排出した事業者となり、十分に注意して扱わなくてはなりません。
一方、一般廃棄物は、日常生活から生じる廃棄物で、家庭ごみや事業系一般廃棄物に分けられます。家庭ごみには、紙くずや生ごみ、プラスチックなどが含まれ、事業系一般廃棄物には、オフィスで出る紙くずや飲食店から発生する生ごみなどが含まれ、一般廃棄物の処理責任は、市区町村が担います。
このように、種類や発生源によって廃棄物は分類され、処理の責任主体も異なるのが特徴です。
業務で扱う廃棄物の排出データは、品目(紙くず、木くず、繊維くずなど)と、排出者が誰なのかの把握が重要となります。先にも述べたとおり、一般廃棄物には家庭系ごみのほか、オフィスや飲食店から発生する事業系ごみも含みますが、建設業(工作物の新築、改築、除去によって生じたものに限る)が排出すると、「紙くず」や「木くず」、「繊維くず」であっても産業廃棄物として扱います。また、「コンクリートくず」は、工作物の新築、改築、除去によって生じると「がれき類」に分類され、それ以外から排出されると「ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず」に分類されます。
このように廃棄物のデータを取り扱う際は、同じ品目の廃棄物であっても産業廃棄物なのか、それとも一般廃棄物なのか確認する必要があり、さらに排出経路によって分類そのものが変わることがあります。
<産業廃棄物及び特別管理産業廃棄物の区分>
引用:北海道「廃棄物処理法の概要 2021」1)
(https://www.pref.hokkaido.lg.jp/fs/5/6/3/6/6/2/7/_/P1-3.pdf)
産業廃棄物を処理するためには、基本的には「廃棄物処理業の許可」と「施設の設置許可」が必要です。しかし、排出事業者が自ら産業廃棄物の運搬・処分(処理)を行う場合や、再生利用の目的となる産業廃棄物(古紙、くず鉄、空きびん類、古繊維)のみ処理する場合などは、廃棄物処理業の許可は不要となります。また、施設の規模によっては設置許可も不要となります。
例えば、木くず又はがれき類の破砕施設の場合、処理能力が5トン/日未満の場合、設置許可は不要となります。
<産業廃棄物処理施設の種類と規模>
引用:北海道「廃棄物処理法の概要 2021」2)
(https://www.pref.hokkaido.lg.jp/fs/5/6/3/6/6/3/3/_/P27-31.pdf)
昨年からは、廃棄物処理施設の設置許可申請に必要となる生活環境影響調査書の取りまとめも担当しております。廃棄物の適切な処理は、資源の循環や熱回収を通じた温室効果ガスの排出量やエネルギー消費量の削減につながっています。
当社の業務を通じて、私も脱炭素社会の実現に向けた活動に貢献していることを改めて実感しています。
<参考資料>
1)北海道「廃棄物処理法の概要 2021」 https://www.pref.hokkaido.lg.jp/fs/5/6/3/6/6/2/7/_/P1-3.pdf
2)北海道「廃棄物処理法の概要 2021」 https://www.pref.hokkaido.lg.jp/fs/5/6/3/6/6/3/3/_/P27-31.pdf