ECO TOPICSエコニクスからの情報発信
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2005.03.01
ECONEWS vol.141

男はつらいよ サクラマス編(2) 

株式会社エコニクス
 環境事業部 取締役部長 上田 重貴

 産卵はほんの数秒で終わります。呆然とする雄を尻目に、雌は大急ぎで産卵床を埋め戻します。ボヤボヤしていると小魚に大事な卵を食べられてしまいます。産卵床からこぼれ出た卵はなす術も無くアッという間に食べられてしまいました。(写真1)

 黒くて大きい雄は産卵が終わりしばらくすると、産卵床を埋め戻す雌を置いてどこかへと行ってしまいました。きっと他の新しい雌を探すのでしょう。この浮気 者め!産卵後は雌が産卵床を埋め戻し、その上流側にふたたび産卵床を掘り、数回に分けて産卵が行われます。まだまだチャンスはあります、頑張れ!弱いサクラマス君!

 次の日、まだあの弱いサクラマスの雄が頑張っています。昨日にも増してかいがいしく雌に尽くしています。雌の尻鰭での産卵床のチェック具合からすると、そ ろそろ産卵床が出来上がった様です。(写真2)ついにその瞬間はやってきました。昨日は浮気者の黒くて大きい雄にしてやられましたが、今日は見事に雄の本懐を遂げる事ができました。(写真3)

 産卵の終わった雌は産卵床を丹念に埋め戻し、皮膚は傷つき体はボロボロになります。あれだけ尽くしてくれた雄が去った後もその場に留まり、力尽きるまで他の雌に産卵床を荒らされないように守り続けます。

 数週間後、産卵の季節が終わるとあれだけ騒がしかった産卵床には小魚さえもいません。あとには決して見ることの無い我が子のために、最後の力を振り絞った雌の水ゴケに被われた屍が転がるだけでした。

 やっぱり女は辛いよねっ 皆さん!