株式会社エコニクス
顧問 駒木 成
コンブは、有性世代と無性世代を約2~3年繰り返して、その一生を終えます。コンブには♂♀の区別がない無性世代(普段見慣れた「コンブ」としての世代)と、♂♀に分かれる有性世代(非常に小さく、私達には馴染みのない世代)があります。有性世代は、コンブの葉から飛び出した遊走子が岩やロープ等に付着し、発芽して♂♀の「配偶体」と呼ばれるものに分かれます。そして、♂の配偶体が精子を、♀の配偶体が卵を作りだし、これらが受精して「胞子体」(いわゆるコンブ)となるのです。無性世代は、岩やロープ等での新芽が越冬後から翌春にかけて急速に伸び、成熟して子班を形成します。そして、葉の先から枯れはじめますが、葉の基部に生長帯が残っている1年目コンブは翌々年に再び生長・成熟と遊走子放出を行い、2年目コンブのほとんどは枯れてしまいます。コンブの種苗生産→中間育成→本養成という、一連の養殖技術は、このような生物原理に基づいたものです。このようなコンブの生活周期を支えてきた海自体も、季節的に移り変わりながらも、一定の周期を持っています。そして、この海洋カレンダーは、一般的に海の生物の生活史と密接に関連してくることになります。特に、品質の良い高価なコンブ養殖は、有性、無性世代を通じて、海水流動や肥料環境等恵まれた海洋環境が支えていると言えましょう。