株式会社エコニクス
環境部 陸域環境グループ 藤田 和夫
変化に富んだ川の流れの風景に親しみを感じるは多いことでしょう。
いわゆる自然の河川は、蛇行しながら上流から下流へと流れます。川は蛇行することにより、蛇行部を浸食して渕をつくり、そこで抉り取られた砂礫の一部は下流部の直線部に堆積して平瀬や早瀬を次の蛇行点までの間につくります。河川に生息する魚類の多くはこの渕と瀬を生息の場としています。可児 藤吉氏(1944)は、このような河川の構造を生態学の観点から初めて分析を行いました(図参照)。
可児はまず、河川の蛇行と瀬と渕の分布に着目し、一つの蛇行区間に多くの瀬と渕が交互に出現する上流をA型、瀬と渕が一つずつしかない中、下流をB型としました。
次に、瀬から渕への流れ込み方では滝のように落ち込んでいる上流をa型、早瀬があり波立ちのみられる中流をb型、平瀬のみで殆ど波立ちのみられない下流をc型とし、両者を組み合わせ日本の平均的な河川を上流よりAa型、Aa-Bb移行型、Bb型、Bb-Bc移行型、BC型の5つのタイプに区分を行いました。
この河川形態区分を北海道の河川に普通にみられる魚類の生息域として示すとオショロコマ及びアメマスやイワナ類はAa型~Az…Bb移行型、ヤマベ(サクラマス幼魚)Aa-Bb移行型~Bb型、ウグイBb-Bc型、ハナカジカAa~Bb型、フクドジョウAa-Bb移行型~Bb型等となります。もちろん、これらの魚類の生息域はこの形態区分域にとどまらない場合もありますが、分布域の概要はおさえられていると言えるでしょう。