ECO TOPICSエコニクスからの情報発信
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2001.09.01
ECONEWS vol.099

海鳥を利用した生活

環境省 北海道海鳥センター
研究員 小野 宏治

 ダウンジャケットや高級羽毛布団は、軽くて暖かい羽毛の特徴をうまく生かした製品です。ほとんどは飼われているガチョウ(グース)かカモ(ダック)を使用していますが、最高級の羽毛とされるケワタガモ(アイダー)は海ガモの仲間です。

 ケワタガモの場合は鳥から直接とるのではなく、巣材として用いた羽毛を採取するそうです。しかし、このような方法は人手と時間がかかります。鳥島で繁殖していたアホウドリは、かつて羽毛や肉をとるために数百万羽が乱獲され、絶滅しかかった苦い過去があります。関係者の努力によって少しずつ個体数は増えていますが、それでもこの地球上にわずか千羽ほどしか回復していません。同じく羽毛や肉のためにとられたオオウミガラスは今からおよそ150年前、ついにこの地球上から姿を消してしまったのです。

 海鳥の糞の堆積物はグアノとして知られ、良質な窒素肥料として利用されています。日本でもかつて天売島で糞の採掘を試みた例がありましたが、地元の反対で中止となりました。

 骨を利用する例も見られます。東京大学大学院の江田さんによれば、アホウドリの仲間は北海道の遺跡においてもっとも頻繁に見られる海鳥だそうです。骨には傷がついたものもあり、なんらかの形で利用していた可能性があります。どのように利用していたのかはもちろん推測の域を出ませんが、ネイティブアメリカンの人たちの利用方法では、骨で入れ物を作ったり、水かきをバッグに使ったりする例があるそうです。礼文島の遺跡からも見つかっていますが、現在、道北でアホウドリ類を見ることは皆無です。かつての分布を知る上でも貴重な資料です。